これなが宙 メールマガジンNo.28(2019/12/08)

ゴミ処理建設予定地の水害リスク

先日の台風19号や昨年の西日本豪雨など、近年大規模な水害が多発しています。そのため水害リスクに関しては、今までよりも厳しい想定で備えなければならないのではないか、という議論が国レベルでされています。

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建設予定地の水害リスクについては6月議会・9月議会でも取り上げて指摘していましたが、その直後、台風19号水害が起こりました。あの水害を見て、指摘した水害想定が決して机上の空論の世界ではなく、現実に起こってしまうんだという確信に変わりました。

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以下の文章は河川防災の専門家から複数回にわたってヒアリングし、自分なりにまとめたものです。これを読むと、建設予定地近くに住んでおられる方にとっては複雑なお気持ちになるかもしれません。しかし、現にあるリスクに対して事実を提示せず、見て見ぬふりをすることは、そこに住んでおられる方をないがしろにする行為だと考えます。

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私は現在のゴミ処理施設が立地している地域に移住し、ダイオキシンの問題なども起こり、地域の当事者として向き合ってきました。そういう経験からもゴミ処理施設の建設予定地のリスクを地元の方はもちろん、多くの市民で共有し、意見を出しあって、そこに建設するかどうかの議論の材料にしていただきたいと考えています。

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◆水害リスクを考える時の前提として・・・

・配慮の必要な人が多くいる施設(病院、学校、福祉施設など)

・人体や環境に悪影響を及ぼすものを扱う施設(工場など)

・廃棄物などを扱う施設(ごみ処理施設など)

これらの施設を建設する場合は、通常の安全基準より、より厳しい安全基準が求められると考えています。水害によって施設に被害が出るだけでなく、多くの人に被害が出たりや周囲の環境に重大な影響を与える恐れがあるからです。

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◆水害の時に浸水深が大きくなる地形

水害時に水が溜まりやすい地形は、川と川の合流地点や、鉄道や道路などによって水の流れが妨げられるところ、干拓地などの低地、そして流れが狭くなる“狭窄部”の上流となります。

先日の台風19号で千曲川が決壊しましたが、そこも狭窄部の上流部分になります。

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◆懸念① 限りのない対策が必要になる

建設予定地は地形的に浸水深が大きくなってしまう場所です。200年に一度の確率の大雨で約8mの浸水が予見されていますが、さらに大規模な洪水だと、さらに深く浸水してしまいます。そのように水位が増える原因は、狭窄部(川幅が極端に狭くなっている所)の上流だからです。

この地形的な性質は河川整備(川に溜まった土砂を除去する)をしたとしても、抜本的なリスクの解消にまではなりません。(もちろん河川整備はしたほうが、洪水のリスクは低減されます)

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他の場所でも、雨がどんどん降れば浸水もどんどん深くなるから同じでは・・・と思われるかもしれませんが、意外にそうではありません。狭窄部のすぐ上流というような地形でなければ、河川の堤防よりも土地の地盤を高くさえできれば、それ以上浸水深が大きくなることはほとんどありません。つまり200年確率の浸水対策をしておけば、1000年確率の水害リスクにも耐えられるのです。

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◆懸念② 周辺地域への水害リスク

建設予定地周辺の地域は、普段は田んぼとして利用をし、洪水時は水が浸かるようにして周辺地域や下流の洪水を減少させる、「霞堤」という伝統的な治水技術によって川と共存して土地利用をしてきました。

「霞堤の堤防高さを高くすれば水害が防げるのでは、、、」と考えてしまいますが、霞堤の堤防の高さを高くしてしまうと、逆に水害のリスクは高くなってしまいます。

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どういうことかというと、堤防の高さを上げると安曇川から溢れる水を防ぐことはできますが、背後の山から流れてくる支流の川の水が安曇川の増水に阻まれて行き場を失い結局、水が溜まって浸水してしまいます。

さらに悪いことには、雨がやんで安曇川の水が減少しても、堤防が高くなってしまっているので堤防外に溜まった水が安曇川本流に排水されにくくなってしまうので、長期間にわたって水がたまり続けてしまうのです。

また堤防の高さを高くすることで、水が下流に流れやすくなり、下流の水害リスクが増加してしまうのです。

「堤防を高くすると、浸水する深さも高くなってしまう」という河川防災のジレンマがあるのです(霞堤だけでなく普通の河川堤防でも同じことが起こります)。

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そういう性質のある霞堤ですが、洪水時には一定期間、水が溜まってダムのような状態になり、下流の洪水を減少させる機能(遊水機能)が少なからずあります。

建設予定地において水害リスクを低減させるために盛土によって地盤をかさ上げすると、盛土した体積の分だけ遊水機能が減少してしまうので、霞堤の周辺地域の浸水深さが大きくなったり、下流に流れる水の量も増加してしまうことになります。

どれくらいの影響が出るかは詳しい解析が必要ですが、滋賀県流域政策局も高島市の問い合わせに対して「遊水機能を考慮するように」と回答しています。

盛土によってどのような影響が出るのか、建設予定地を決定するうえでこの情報は不可欠ですが、いまだ明らかになっていません。

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◆懸念③ 被害が出たときに責任の追及を免れない

仮に、現地に建設し、想定以上の大雨が降ってごみ処理施設が被災し、周辺環境に影響が出るような事態(廃棄物が流出するなど)になった場合、河川整備の不備を理由に、県に責任を求めることはおそらくできません(よほどの過失があれば別ですが)。

その場合、責任は高島市のみが問われることになります。責任の有無は『予見可能性』と『回避可能性』の二つで判断されます。

今回の場合、「想定以上の浸水があるかもしれない」という『予見可能性』があり、建設地を変更できる『回避可能性』もあったことから、多額の費用を使って200年確率の対策をしていたとしても、責任を問われる可能性はあります。

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以上のような水害リスクが想定されるのですが、実際にそのような事態になるかどうかはわかりません。

ただ目安として、そういう事態が起こるかどうかの確率は計算することができます。

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例えば

環境センターの耐用年数を30年と仮定して、

100年に一度の災害が30年間の間に起こる可能性は・・・

1-(99/100)^30 を計算すると約26%になります。

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同様に200年確率は・・・1-(199/200)^30 =約13%

500年確率は・・・1-(499/500)^30 =約6%

ということになります。

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以上、長文を読んでいただき、ありがとうございました

2023年12月10日